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脂質の役割を知っていますか?更新日:2023/01/13

脂質の役割



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「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の3つは、エネルギー産生栄養素です。生きていく上で必要なエネルギーは食品中にふくまれるこの3つの栄養素から得ています。
1gあたりのエネルギーが約4kcalである炭水化物やたんぱく質と比べ、脂質は約9kcalと効率の良いエネルギー源です。また、脂質は、エネルギー源のほかにも重要な役割を担っています。食品から摂取した脂質は、細胞膜、ホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質を構成する成分になり、さまざまな生理機能の維持および調節に関わっています。
脂質をバランスよく摂取することが大切です。

理想的な脂肪酸バランス

脂質は脂肪酸で構成され、脂肪酸の種類で「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大きく分類できます。

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飽和脂肪酸は、動物性食品の脂肪に多く含まれている成分で、主にエネルギー源としての役割を担います。不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類され、多価不飽和脂肪酸には、n-6系と、n-3系のものがあります。
脂肪酸はそれぞれ役割が異なるため、バランス良く摂ることが大切です。理想的なバランスは次の図の通りです。

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飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸は体内で合成できますが、多価不飽和脂肪酸の中には体内で合成できないものがあるため、現代の日本の西洋化した食事では、多価不飽和脂肪酸の摂取量が不足する傾向があります。
バランス良く脂肪酸を摂るには食品から摂取する多価不飽和脂肪酸がカギになります。

多価不飽和脂肪酸が含まれる食品

では、多価不飽和脂肪酸はどのような食品から摂取できるのでしょうか。多価不飽和脂肪酸は、「n-6系不飽和脂肪酸」と「n-3系不飽和脂肪酸」の2つに分類できます。
n-6系不飽和脂肪酸は、いわゆる“サラダ油”である植物からとれる大豆油、ひまわり油、紅花油などに多く含まれており、血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。また、肉類や魚類、種実類、大豆にも含まれています。
n-3系不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は魚油に多く含まれます。EPAやDHAは体内でほとんど合成されないため、食品から摂取する必要があります。現在の日本人のたんぱく質の摂取量が減っている理由の一つとして魚の摂取量が減ったことが考えられると前回のコラムで紹介しました。魚類の摂取量の減少はたんぱく質不足だけでなく、EPAやDHAの不足にもつながります。

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EPAとうつ

EPAやDHAには動脈硬化を予防し、血圧を下げ、血栓ができるのを防ぐ効果があります。特に注目したいのがEPAの抗炎症作用と自律神経への作用です。炎症は老化や様々な疾患を引き起こす原因の一つであり、脳も炎症の影響を受けます。うつの原因の一つとして脳の炎症が関係しているとも言われています。また、交感神経が優位になり、自律神経が乱れがちな現代では、副交感神経を優位にして、バランス整えることが大切です。
からだとこころの健康のために抗炎症作用と自律神経への作用が期待されるEPAやDHAが不足しないように心掛けましょう。

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