うつと栄養 Meiji Seikaファルマ株式会社

うつで不足しがちな栄養素

人間の体は
食べたものからできている。
脳も同じこと。

体の病気と同じように心の病気を治すのにも食べ物からの栄養摂取が重要です。
さまざまな研究でわかった、うつの人に不足しがちな栄養素をご紹介いたします。

  • 血液さらさら、だけじゃない! EPA (エイコサペンタエン酸)

    EPAは、n-3系多価不飽和脂肪酸の一種で、魚の油に多く含まれています。EPAは血液をさらさらにすることで有名ですが、身体の炎症や過剰なストレスによる脳の炎症を抑制したり*1)、脳を健康に保つ神経栄養因子の働きを高めたりする効果*2)が報告されており、うつへの応用として国際栄養精神医学会ガイドライン*3)でも1日1~2グラムの摂取が推奨されている栄養素です。

    EPA(エイコサペンタエン酸)
    EPAを豊富に含む食品
    魚(まぐろ、いわし、ぶり、さば、
    さんま、鮭など)

    EPA(エイコサペンタエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)

  • 不足すると味覚障害の原因になる!? 亜鉛

    亜鉛は、脳内において記憶やストレス対処に深く関わる海馬と呼ばれる場所に多く存在しています。うつの患者には、亜鉛欠乏が多くみられるという報告*4)もあります。亜鉛が不足すると味覚異常が起こり、これにより食欲の低下や食事量の減少につながり、亜鉛欠乏の悪循環に陥ることがありますので要注意です。

    亜鉛
    亜鉛を豊富に含む食品
    牡蠣、うなぎ、牛赤身肉、レバー、
    大豆など

    亜鉛亜鉛

  • 脳に必要な神経伝達物質の生成に貢献! 葉酸、ビタミンD

    体内の葉酸が少ないこととうつの関連が認められています*5)。葉酸をはじめとするビタミンB群やビタミンDなどの栄養素は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといったうつと深い関係のある脳の神経伝達物質の生成を促します*6~8)。うつの治療に使われる抗うつ薬もセロトニン等の量を増やす目的で使われています。

    葉酸、ビタミンD
    • 葉酸を豊富に含む食品
      ほうれん草、グリーンアスパラガス、
      ブロッコリー、納豆など
    • ビタミンDを豊富に含む食品
      きくらげ、干ししいたけ、しらす干しなど
      (乾物に豊富に含まれる)

    亜鉛亜鉛

    亜鉛亜鉛

  • 活力を促すドーパミンや
    心を安定させる
    セロトニンの原料になる。
    たんぱく質
    (アミノ酸)

    たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。健康なからだづくりにたんぱく質は欠かせません。例えば、トリプトファンという必須アミノ酸は、精神を安定させる神経伝達物質のセロトニンをつくる原料になります*9)

    たんぱく質たんぱく質

    たんぱく質(アミノ酸)を豊富に含む食品
    魚(かつお・まぐろ・鮭など)、
    肉(鶏・豚)、卵、大豆製品、
    乳製品
  • 腸内環境を整え、健康的な食生活を。 乳酸菌、
    ビフィズス菌

    脳と腸は相互に作用していることがわかってきています。腸内では葉酸をはじめとするビタミンB群がつくられます。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は「腸―脳相関」を通じてストレスを緩和する作用もあり、うつの人とそうでない人の腸内環境を比べると、うつの人にはビフィズス菌をはじめとした善玉菌が少ない傾向があります*10-11)

    乳酸菌、ビフィズス菌を豊富に含む食品
    ヨーグルト、乳酸菌飲料
    乳酸菌
  • (参考文献)
    *1) Borsini A, et al. Transl Psychiatry. 2020; 10(1): 219.
    *2) Peng Z, et al. Int J Mol Sci. 2020; 21(5):1769.
    *3) Guu TW, et al. Psychother Psychosom. 2019; 88(5): 263-273.
    *4) Swardfager W, et al. Biol Psychiatry. 2013;74(12):872-878.
    *5) Gilbody S, et al. J Epidemiol Community Health 2007;61:631–637.
    *6) Falade J, et al. Current Psychopharmacology. 2021; 10: 115-122.


    *7) Ramsey D and Muskin PR. Current Psychiatry. 2013; 12(1): 37-43.
    *8) Patrick RP and Ames BN. FASEB J. 2015; 29(6): 2207-22.
    *9) Sainio EL, Pulkki K, and Young SN. Amino Acids. 1996;10(1):21-47.
    *10) Rieder R, et al. Brain Behav Immun. 2017; 66:9-17.
    *11) 功刀浩. 腸内細菌学雑誌 32 : 7-13,2018

    (参考文献)
    *1) Borsini A, et al. Transl Psychiatry. 2020; 10(1): 219.
    *2) Peng Z, et al. Int J Mol Sci. 2020; 21(5):1769.
    *3) Guu TW, et al. Psychother Psychosom. 2019; 88(5): 263-273.
    *4) Swardfager W, et al. Biol Psychiatry. 2013;74(12):872-878.
    *5) Gilbody S, et al. J Epidemiol Community Health 2007;61:631–637.
    *6) Falade J, et al. Current Psychopharmacology. 2021; 10: 115-122.
    *7) Ramsey D and Muskin PR. Current Psychiatry. 2013; 12(1): 37-43.
    *8) Patrick RP and Ames BN. FASEB J. 2015; 29(6): 2207-22.
    *9) Sainio EL, Pulkki K, and Young SN. Amino Acids. 1996;10(1):21-47.
    *10) Rieder R, et al. Brain Behav Immun. 2017; 66:9-17.
    *11) 功刀浩. 腸内細菌学雑誌 32 : 7-13,2018