お役立ちコラム
糖質は脳にとっても大切なエネルギー源!
~炭水化物の役割 ①~更新日:2023/10/11
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の2つ!
炭水化物はたんぱく質、脂質とともに三大栄養素と呼ばれます。日本の食生活で最も多い炭水化物の摂取源は、主食である米やパン、麺類などの穀類です。炭水化物は他にも、いも類や果実類、かぼちゃやトウモロコシなどの野菜類に含まれます。また、砂糖や菓子類にも多く含まれています。
炭水化物は大きく「糖質」と「食物繊維」の2つに分類されます。糖質は、主に体を動かすエネルギー源になります。今回のコラムでは、糖質の役割について紹介します。
糖質は脳や体を動かす重要なエネルギー源!
糖質は1gで4kcalのエネルギーを生み出します。脂質に比べて分解や吸収が早く、すぐにエネルギーとして利用されるのが特徴です。
糖質は単糖であるブドウ糖に分解されて吸収されます。血液中のブドウ糖はグルコースと呼ばれ、各細胞に運ばれてエネルギーとして利用されます。脳は通常の場合、昼夜の活動時や休息時を問わず、このグルコースをエネルギーとして利用します。脳は体重の2%ほどの重さしかありませんが、私たちのエネルギー消費量(基礎代謝量)の約20%を占め、多くのエネルギーを消費しています。そのため体には、脳にとって重要なグルコース濃度(血糖値)を一定に保つ機能が備わっていて、脳の活動を維持しています。
例えば、飢餓などで血糖値が低下し、脳へのグルコース供給が不足すると、体の構成成分であるたんぱく質を分解してグルコースをつくり出すことで、血糖値は維持されます。身を削って脳のエネルギー源を確保している状態ともいえます。
過剰な糖質は体脂肪になってしまう!
糖質は大切な栄養素ですが、現在の日本の生活では糖質不足のリスクよりも、糖質過剰のリスクが問題になっています。糖質過剰により余ったグルコースはグリコーゲンとして肝臓や筋肉に一時的に蓄えられてエネルギーとして使われます。ただし、グリコーゲンとして貯蔵される量は限りがあり、蓄えられる量を上回ると、グルコースは体脂肪として蓄えられてしまいます。体脂肪が過剰に蓄積された状態が肥満です。
肥満になってしまうと、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患などの生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、うつ病のリスクも高くなることが報告されています。つまり糖質が不足しても過剰であっても脳や体に大きな影響を及ぼすのです。
糖質と一緒にとりたいビタミンB1
糖質をエネルギーに変えるときに欠かせないのがビタミンB1です。ビタミンB1は豚肉、豆類、種実類や玄米や雑穀などの穀類、そして、ウナギのかば焼きにも多く含まれます。ビタミンB1が不足してしまうと、糖質をエネルギーに変えることができず、その結果、代謝産物が蓄積し「疲労」が溜まってしまいます。
また、疲れたとき、イライラしたときは甘いお菓子で癒されることがありますが、糖質の分解にビタミンB1を消費してしまい、さらに甘いものを手にしてしまう悪循環に陥りがちです。甘いもので癒すのはほどほどにしておきましょう。アルコールも糖質の仲間です。アルコールが代謝されるときにはさまざまな過程でビタミンB1が必要になりますので、飲酒の習慣がある方も注意が必要です。
たんぱく質や食物繊維も一緒にとりましょう!
最後に、食事から糖質を摂るときに気をつけたいのは血糖値の急上昇です。体には急に上がった血糖値を下げようとする働きが備わっていますが、血糖値の乱高下は体の負担になり、不安定な状態が続くとさまざまな心身の不調につながります。血糖値のコントロールのためには、主食となる穀類と主菜のたんぱく質源を用意することが大切です。
肉類や魚類などのたんぱく質源を先に食べると、血糖をコントロールするホルモンであるインスリンの分泌が促され、食後の高血糖を抑える効果が期待できます。また、食物繊維にも血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。食物繊維を多く含む玄米や未精製の穀類、野菜類、海藻類、果物は毎日の食事にとりいれたい食品です。炭水化物の役割から考えても、食生活の基本は、主食、主菜、副菜を揃え、間食は摂り過ぎない、飲酒はほどほどにということになります。